はじめてのピアスは、ヘタレの証明 その4
またピアスの話。
結論から言うと、ピアスホールはつぶすことにした。
ファーストピアスを一か月つけたが、穴は未完成。しっかり傷口が穴として確立されるように、毎日ピアスを付けた。
夜もつけると腫れたため(たぶん耳を枕に押し当てるから)、毎朝、まず穴の入り口を爪でカリカリして、一晩でできたかさぶたを除去する。
それから、穴にピアスを挿す。痛くないようそーっとそーっと突っ込んで、でも出口近くで止まる。入り口同様塞がりかけているのだ。そこはえいと強く押し込んで突破。いたたた~となる。を両耳繰り返す。
苦痛ですよ、これ。
でも、つけてしまえば痛くないし、かわいいし。スミレは努力した。
ところが、そうして2週間と二日目。いつものようにかさぶたを取った後、挿し込んだピアスが、出口よりかなり手前の感触で止まってしまった。穴が塞がっている。
えいえいとぐりぐりしてみても、痛いばかりで少しも動かない。力で破るには、距離感がある。突破できるかもしれないが、かなり痛いぞ。きっと。
こんなにさっさと傷がくっついてしまうとは、スミレの治癒力は高すぎるのか?
さて、どうする。
無理やり突破。→ めちゃくちゃ痛い。が当分続く。
あきらめる。→ 自由確保。
一瞬だけ、迷った。が。
はい、あきらめます。
もうなんか気持ちの限界。毎朝の格闘に疲れた。耳のこと考えるのも疲れた。痛くないように触るのも、服脱ぐときに気をつけるのも、疲れた。
気ままで自由を何より愛するスミレには、無理なオシャレだったのだ。
こうして、ピアスをつけることを放棄した。
あぁ、かっこわるい。
ヘタレの烙印を押された気分。でも束縛からの解放感の方が大きい。
はじめてのピアスは、大失敗に終わった。
何事もやってみなければわからない。
世の中には、ピアスがうまくいかない人もいるの。勉強になりましたわ。
ピアスに失敗するのは、原始の世界なら成人に失敗したようなものだろう。そんな世界なら、スミレは我慢できなかった半端な人間として扱われるな。現世の人間で良かった。50歳でその仕打ちは辛すぎる。
申し訳ないのは、アシコにもらったピアスが2回しか使用できなかったことである。可愛かったのに。
多少未練を感じたものの、きっぱりできないものなのだと納得したスミレである。
下手に傷ついた意外と厚い耳たぶが、できるだけ綺麗に回復することをひたすら願って、ピアス騒動は終わりとする。