はじめてのピアスは、忍耐を要する。その2
ピアスホールをやっとこさ貫通させたスミレの続き。
ファーストピアスをつけたまま、消毒をする。ピアスはやや余裕を持った感じでついている。ヘッドとキャッチを持って、耳たぶを間にゆるゆる動けるくらい。その隙間に消毒液を付けた綿棒を入れて傷を消毒する。そうして1か月すると、傷は癒え外した時には穴が開いた状態になるわけね。なるほど。
毎日消毒しながら、2週間。寝ている間もつけたまま。
スミレは寝る時、横を向くことが多い。2週間目、布団の中で、どうにも鬱陶しい思いが沸き上がってきた。外したい。耳を枕に押し付けてスリスリして寝たい。外したらどんなにスッキリするだろう!と思う。
我慢我慢。右耳が触った時にちょっと痛いときがあるけど、順調にいってるはずなんだから。あと2週間の辛抱なんだから。
意志の力で、身体の欲求を押さえつける。
うまくいっている・・と、思う。たぶん、左耳は完璧。でも右はちょっとアヤシイ。
どうやら左に比べて、やや厚みのある場所についている。もしかしたら、耳自体が右と左では微妙に違うのかもしれない。そのせいか、やっぱりたまに痛い。
でも今はどうしようもないし。化膿したりはしてなさそうなので、ともかく1か月、残り2週間頑張ろう。
ピアス反対派の友人たちに会う。
「ぎゃー、何ピアスなんてしてんの、痛そう―!」痛い痛いと騒がれた。痛いのはスミレだっちゅーの。
開けること自体は、確かに本当に痛くない。衝撃があるだけで注射より痛くない。そして、開けた後もほとんど痛くない。たまにちょっと痛いだけだ。
「痛くないよ~」と言っても騒がれるだけなので、面倒だから「めっっちゃっっ痛いよ!もう痛くて痛くて転げまわったよ!」と言うことにする。そうすれば反対派のみんなは満足するしね。
しかしこうして、やってみて思うが、ピアスって原始的だよね。身体に傷つけてアクセサリーを身に着けるんだから。どこかの部族の成人の儀式とか、そんな原始的風習の匂いがぷんぷんする。近代的ではない行為だ。
スミレは、過去の時代の女になった気がした。
早く1か月経たないかな。耳が自由になりたいな。
1か月経てば、大丈夫。この考えは、浅はかだった。・・・・・続く~!