スミレの50のお祝いに

生誕半世紀を記念してしてみたこと

はじめての競馬は、うっかりハマりそうな罠がいっぱい

久し振りに書くのですが、まぁ勘弁してね。

 

 

 ジャジャジャーン!競馬デビュー!

 

 小倉競馬場へ行ってきた。近くにあるが、中に入ったことはなかった施設である。スミレはギャンブルに近寄らないようにしている。

 何故と言うに、スミレの親父は、ギャンブルにすべてを捧げ、妻から離縁された男だからだ。子どもの頃に別れて以来、スミレは母子ふたりで育った。母は、あるはずの収入を博打に持っていかれるより、少しの収入でつつましく暮らすことを選び、夫を家から追い出したのだ。英断である。

 よくあることで、スミレは周りの大人にこう言われて育っている。「絶対にギャンブルはしてはいけないよ。やり始めたら止まらない、あれはもう病気なんだから。お前にはその血が流れているのだから。隔世遺伝もあるからね、子どもにも絶対にさせないように。」

 いい子のスミレちゃんは、こうして50歳まで、公営ギャンブルには行ったことがないのである。

 だがもう、50歳。いい加減分別もつき、いまさらハマることもなかろうと、今回の企画に入れてみた。

 

よくテレビで話題になるような、大きなレースより、まじかでリアルな馬を見る地方競馬に行くことにする。あらかじめ身近な競馬ファンに下調べをしておいた。

 

 2月某日。前日から雨がしくしく降っており、行くのがものすごく面倒だったが、ひとり小倉競馬場へ向かう。駐車場に車を入れ、入場券100円を買う。小倉競馬場は、新しくて建物が綺麗だ。ゲートをくぐると、通路を下って屋根のない開けたところへ続いている。

 おお、いきなりもう馬がいるいる。パドックという所のようで(パドックという言葉はマンガで覚えた)、馬が人にひかれてパカパカと歩いている。観客はあまりいない。

馬は綺麗だ。生きものは好きだ。見ていて飽きない。たぶんこれから走る馬なんだよね、どれに賭けようか・・。

 実は行く前から馬を選ぶ基準は決めていた。綺麗な馬に賭ける。

ところが、どの馬も本当に綺麗なのである。むむ、とりあえず大きくて立派で、バランスの取れた感じの・・なんて考えながら見ていると、「とーまーれー」と号令がかかり、騎手が乗ってまた歩き出す。騎手が乗っていない馬もいる。

 騎手さんを見て、馬を見て、えーっと一番きれいな感じは・・。お尻のでかいのがいいかなぁ。いやシュッとした方が速いかな・・。

 などと一生懸命うんうん考えているうちに、ふと気が付くと周りが人でいっぱいだ。みんな黙って難しい顔してじっと馬たちを見つめている。なんかすごい。真剣だ。

電光掲示板に、いろいろと数字が書いてあるが、よく意味が分からない。そのうち馬がみんないなくなってしまった。さぁ、賭けに行かねば。

 

 建物に入ると、人が沢山いた。どうやらカードに書いて自販機のようなので賭けるらしいが、まずそのカードが何種類もあって、どれに書いたらいいかわからない。一番基本っぽいものを取るが、これまた書き方がわからない。

 複勝とか連勝とかあるのは知っているが、むむむ・・。普段のスミレならその辺の人を捕まえて聞くのだが、ここにいる人は皆殺気立ってて忙しそうなのである。声かけるなんて申し訳ない感じなので、まぁやればわかるか。

 

  カードの書き方や賭け方を理解するのは面倒になったので、わからないままとにかくやってみる。どうやら書き方をミスったようで、機械の横からおばちゃんが出てきたりといろいろあったが、ここには結果だけを書く。

 

 スミレは4つのレースに賭けた。

はじめに、綺麗な馬3頭を選び、次は好きと思う馬3頭、その次は落ち着いている馬1頭と元気いっぱいな馬2頭、最後に落ち着いた馬3頭。

はじめの2レースは単+複(←よくわからない)で1200円、その後単勝で600円を賭けた。「複」がわからないので、もう単勝のみにしたのだ。全部で1800円を投じた。

 で、2つのレースで先頭を当て、合計2710円をゲットした。駐車場代が1000円かかるからまぁとんとんだ。

  

 さて、「初めての競馬」であるが。

 これはもう、独特の面白さだった。今回スミレは何人かに一緒に行かないかと声をかけたが、振られたので一人で行った。そして、競馬場でも誰とも話さなかった。この数時間、ずっと、黙って、ただもくもくと馬のことだけを見て考えていたのである。

 特にパドックで、あれだけたくさんの人がいながら、静寂を保ち真剣にみんなが馬を食い入るように見ている様は、普通体験することがない高揚感がある。一人で行って正解だった。大勢の中で、一人でじっと考える、これがとても面白い。

 レースは、ゴール前で見るより、観覧席の上の方から見る方が面白いことも分かった。レースによって、スタート位置や距離が違うようだということも分かった。そしてやはり馬は綺麗だった。

 レースが始まり、ゴールに近づくと、周りがうわーっと賭けた番号を叫びだす。楽しい。賭けた馬がゴールした時なんか飛び上がる程嬉しい。でも一人だから、嬉しさを押し隠し、そ知らぬふりして馬券を換金しに行くのだ。

 勝ったからといっていくらになるのか、スミレは機械に馬券を入れてみないとわからない。今回はじめ260円返ってきたので、次もそれくらいかと思ったら2450円になって仰天した。思わずぎゃーと言いそうになる。ビギナーズラックというやつだろう、こんなことされたら好きになっちゃう・・と、慌てて家路についたのであった。

 

 ハマりはしないが、当たったこともあって、とてもとても楽しい時間だった。見て考えるのが楽しいので、また小倉であるときには行ってみたいものだ。

もちろん、誰にも言わずに、一人で行こうと思う。

ああ、きっと行っちゃう。これハマっちゃったのかな。

 

写真はバレンタインデーにちなんだ、チョコ製の馬。

 

f:id:zumire:20160326182333j:plain