スミレの50のお祝いに

生誕半世紀を記念してしてみたこと

はじめてのバードマンは生まれ変わった気分になれる

 50のやってない事をしようと思うんだけど、何かないかな?

友人お針子ちゃん(裁縫が得意なので)「とりあえずバンジーは飛んでほしいわ」

と、いうわけで、バンジージャンプをすることにする。

 日本にはバンジーがいくつかあるようだが、大分県の城島高原パークにバードマンというアトラクションがある。普通のバンジーのように垂直に落ちてびよんびよんとぶら下がるのではなく、支柱を軸に振り子のようにぶらんぶらんとなるようだ。

バンジージャンプとはちょっと違うが、似たようなものだろう。それにこれなら自分で飛び降りずとも、身を任せていれば勝手にぶらんぶらんとなりそうだ。

びよんびよんではなく、ぶらんぶらん。

よし、これでいこう。近いしすぐ行ける。

 

 せっかくだから家族にいっしょにやる?と誘うと、子ども(娘その1、息子、娘その2)もやると言う。そうなると、一人残るのは嫌だと、絶叫系が苦手なトトロン(夫52歳、さみしがりや)も参加し、家族のお出かけとなった。

 

 娘その1が大学生になって家を出ていたが、たまたま帰省していた2015年9月13日、晴天の中城島へ出発した。バードマンは、天候が悪いとできない。バードマン日和だ。

 道案内はもちろん安堂さんだ、スマホに変えたかいがある。久しぶりの家族揃ってのお出かけに皆ウキウキだ。トトロンなんか、これが最後かと涙目である。

 ゆるゆると道の駅なんかで遊びながら、約2時間程で城島高原に到着した。途中運転者トトロンが降りるべき高速を乗り越すというアクシデントがあり、非難の集中砲火を浴びるが、なに、いつものことである。

 

 わざわざ来たのだから、ほとんどの乗り物が乗れるフリーパスを購入。だが、目的のバードマンは別料金なのだが。

 天候が急変してできなくなったりすると意味がないので、早速バードマンへ向かう。なになに、一人でやるのと二人、三人でやるのとある。一人なら2000円、二人で3200円、三人で3900円。多人数の方が割安だ。5人でどうするか。

 スミレのための企画なのだから、スミレは一人でやる! 残りは二人ずつ、娘その1とトトロン、息子と娘その2の組み合わせにした。

 じゃぁ早速どうぞと係のオジサンたちが誘導してくれる。まずはここに立って、この棒踏んで・・など言われたとおりにすると、両手が自由で、身体が袋の中に入ったような状態になる。背中につるされるための金具がついており、これでぶらんぶらんとなるわけだ。すっぽ抜けないよう足側は固定されている。

 「いいですか、上まで言ったら3、2、1、引いてください!と声をかけますから、そしたらこれを引いてください」とオジサンが、腰のあたりにぴょこんと飛び出ているドラえもんのしっぽのような棒を指示する。

 え!自分で最後の動作をするの?これは想定外。しかしここまで来てひるんでいられない。やってやるぜ。

 

 はじめに息子と娘その2のペアが挑戦。広っぱにある側面が開く箱のようなものに乗りこんだと思ったら、あっという間に、え、そんなに高くまで行くの?というところにつるされており、あっという間に落ちてきた。ギヤ――――という叫び声がドップラー効果を伴って耳に入る。楽しそう。笑っているではないか。

 オジサンが言うには、二人とか三人との方が、重くなるのでスピードがついて怖いらしい。なんだ、じゃあスミレはそんなに怖くないかもしれない。だが、一人だと自分で棒を引っ張るという責任から逃れられない。50のお祝いにふさわしいだろう。

 などと思ってるうちに、娘その1とトトロンのペアも落ちてきた。この二人が一番重くて怖いはずである。叫び声も凄まじい。さぁ、スミレの番だ。

 

 終了したペアと入れ替われるよう箱に乗りこむ。娘その1とトトロンがぶらんぶらん状態から箱内に降りてくる。オジサンが背中のひもを外してスミレにつける。

 「じゃぁがんばってね~」という娘その1の言葉に答えようとするといきなり体が水平に吊らされた。ぎえーーーー!いきなり過ぎるわ!声かけてよ!

 驚いているうちに箱側面が開いて皆が去っていき、スミレはどんどん上へ吊り上げられていく。高い高い。ビルの10階くらいらしい。最後にガクンガクンともうひと押しという感じで上へ上へ。

 思ったより高いよ!口が開いてよだれ落としそう。何にもすがるものがないこの心細さ。ホントにここから落ちるの?

 オジサンの声がかかる。「はい、引っ張ってー!」

一瞬のためらい。でも引かなきゃ帰れないし。えいーーーー!

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ぎょへーーーーーーーーーーー!

 怖いアトラクション好きだけど、やっぱり叫びますとも。もうこれ身投げと変わりませんから。まるきり落下、でも水平状態で落ちたーー!と思ったら次の瞬間には、ぶらーんと支柱の反対側へ上昇する。そしてまた反対へ。ぶらーんぶらーん。こうなったらもう気持ちいい。まるで空中遊泳のようだ。わーいわーい、飛んでるみたい。ほら向きもかえられるよ~、なんて繰り返してバードマンは終了してしまった。笑いが出るわけだ。

 

 バードマンは、楽しい。これはやってよかった。したことない人にはお勧めしたいものである。絶叫のあとの遊泳は爽快だ。天気が良ければなおのこと楽しめる。

 そしてやり遂げた充実感に満たされる。なんか違う自分になったようだ。 

 

 無事ミッションを終了し、他のアトラクションも楽しむことにする。

 城島高原パーク。スミレはたぶん25年前くらいに行ったぶりだ。確か、ジュピターという木製ジェットコースターができて、乗りに行ったのだ。今もまだあるジュピターに並んでいると、注意書きに「60才以上の方は乗れません」とあった。

 なるほど、歳をとると、できなくなることがあるのだな、50才で来てよかったなと思った次第である。